転職エージェント・キャリアアドバイザーだけが理解している新型コロナウイルス感染拡大後の薬剤師転職市場の変化

今年の転職市場は新型コロナウイルス感染の影響により、大きく変わってしまいました。これは医療従事者に限らず世の中全体での大きな変化となりました。

 

また、薬剤師に関して言うと、調剤報酬の改定も重なり、企業の経営状況、現場の業務内容も変わってきています。その状況について詳しく把握、理解されているのは人材業界で働く人くらいで、医療機関や薬局、OTCなどで働く人で詳しく理解されている方は少ない状況です。

 

 

そこで、コロナの影響が出る前までによく聞かれた転職希望者の条件、そしてコロナの影響が出た現在の転職市場の状況を説明し、どのような変化が出ているのか、今後どのような視点で転職活動に向かっていくべきか、現役の薬剤師転職エージェントによる解説・アドバイスをしていきます。

 

その前に、大前提として認識してほしいのは、転職市場というのは転職を考える求職者、そして採用を考える企業・医療機関・薬局があって成り立つものだということです。

 

採用側である企業や医療機関・薬局の採用意欲の高さや求人数の多さ、そして転職を考える求職者の数の多さにより「売り手市場」だったり、「買い手市場」だったりします。要は需要と供給のバランスがあるわけですが、この部分を意識しながら読んでいただけると、より今の薬剤師の転職市場がどのような状況か理解は深められると思います。

 

 

今まで良く聞かれた転職時の条件、タイミング

 

一般的に、転職を希望される方からよく聞かれる転職条件は
・年収を上げたい
・職場環境を変えたい
この2点が一番多いです。

 

年収を上げたいというのはどんな方でも思うことですのでわかります。ただ、2つ目の職場環境を変えたいというのは薬剤師特有な部分もあるように感じます。

 

薬剤師の場合、人間関係はもちろんのこと、処方科目を多く経験したい、住居付きの派遣で働いてみたい、ラウンダーで様々な環境で働きたいなど、働き方や生活環境を大きく変えることが出来ます。
それだけ薬剤師には働き方、年収の上げ方に選択肢が多いからこそ、このように「職場環境を変えたい」と転職を希望される方も多いのではないかと思います。

 

特にラウンダーという働き方は、様々な店舗に応援という形で勤務する形態ですが、実は年収も結構上がります。移動を多くしなければならないこと、また1つの職場にいるわけではないため、それぞれの店舗での人間関係も構築していく必要があります。その分給料もいいのが特徴です。

 

この働き方であれば年収も上げられて、様々な処方科目、経験を積むこともできます。もし上記のような「年収をあげたい」「職場環境を変えたい」「処方科目を多く経験したい」と考えられる方にはぜひ参考にしてほしい働き方です。

 

また、薬剤師業界は女性が7割、8割の世界です。結婚やご主人の仕事の都合、家族の事情等により転職を考えられているという声も良く聞きます。女性は何かとライフイベントに大きく生活環境が変わることが多いので、そのタイミングで転職を考えられる方が多いですね。

 

 

 

では、今の薬剤師の転職市場はどのようになっているのでしょうか?今年は薬剤師業界の転職市場、そして薬剤師を雇用する企業の経営方針等が大きく変わった年です。
その要因は大きく2つあります。

 

新型コロナウイルスの感染拡大

1つ目の要因が新型コロナウイルスの感染拡大です。この新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、薬局の処方枚数は大きく減少しました。特に小児科や耳鼻咽喉科は影響が大きく出ています。
こちらは日本医師会による調査データです。どの診療科目でも影響は出ていますが、小児科・耳鼻咽喉科が大きく減っていることはお判りいただけるでしょう。これは休校に伴い子供が外に出なくなったためと考えられます。

引用:公益社団法人 日本医師会 「新型コロナウイルス感染症対応下での医業経営状況等アンケート調査(2020 年 3〜4 月分) 」

 

調剤報酬の改定

2つ目が調剤報酬の改定です。これにより大きく影響を受けたのはドラッグストア、門前の薬局と言われています。その理由は、端的に言うと「処方が集まりやすい環境は点数が上がりにくくなった」からです。
しかもそれだけでなく、点数を上げるためには在宅を増やさないといけなくなり、さらにオンライン処方に取り組まなければならないといった、これまでの経営方針を変えなければならないくらいの大きな変化が起こっているのです。

 

 

これからの薬剤師の転職市場について

では、これら上記の要因が転職市場にどのような影響を及ぼすか説明したいと思います。

 

まず、そもそもとして転職が難しい状況になってきました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、病院やクリニックの受診者の減少は処方枚数の減少に直結します。
処方枚数が減少するということは、売上が悪くなることです。企業経営で大きな支出となる給与の支払いに余裕が出なくなります。

 

実際に、派遣薬剤師の求人は新型コロナウイルスの感染拡大後、激減しました。求人が出たとしてもそこに人が殺到し、競争が激化してしまい、契約がなかなか結べないのが現状です。

 

次に年収、時給の減少です。年収は年齢や経験、勤務地等でも変わりますが、今までは薬剤師の求人といえば年収600万を超えるものも多くありましたが、今では400万〜500万が当たり前になっています。

 

パートに関しては、2500円程あった時給が、今では2000円、もしくはそれ以下になっています。

 

 

その中でも転職エージェント・キャリアアドバイザーとして毎日多くの求人に触れる中で、特に影響を大きく受けていると感じているのは派遣求人です。
今までであれば3000円は超えて当たり前であった時給が、今では3000円を切り、低いもので2600円まで下がっています。

 

この派遣の背景としてはそもそも派遣を必要としなくなったことと、少なくなったものの求職者のニーズが高い派遣求人を獲得するために、転職サイトを運営する紹介会社による受注競争が発生し、どこの紹介会社も「時給が低くても人材を紹介できる」と時給を下げて交渉していった結果、これだけ時給が下がってしまったのでしょう。

 

 

最後に仕事環境です。これは一部の方しか該当しないかもしれませんが、在宅やオンライン処方を積極的に行わなくてはならなくなったことです。個人宅や施設に向かう、またはオンライン等での服薬指導を行うこの業務に抵抗を感じる方はいらっしゃるかと思います。
ただ、今回の調剤報酬の改定では、在宅もしくはオンラインをしなければ点数を稼げない、売上を上げられなくなっているため、今まで積極的に在宅やオンラインに取り組んでこなかった薬局でも実施するようになってきています。

 

転職をする際にはなかった業務が、急に増えることになるかもしれませんので、今後転職を考えていく際は、面接や紹介会社から案内されたタイミングでどんな業務があるのか、業務を増やす予定があるのかは必ず確認しておいたほうがいいでしょう。

 

 

今年はコロナの影響、調剤報酬の改定により、年収相場、仕事環境が大きく変わりました。転職を考えられている方は年収の上がり方、今後の経営方針、仕事内容等、今までよりも注意して確認しなければなりません。
こんな状況ではありますが、求人がないわけではありません。また転職市場が大きく変わっている中で、1人で考えたり情報収集するにも限界があります。こういった状況だからこそ、転職サイトや紹介会社等を利用し、情報を集めることが転職を成功させる秘訣でしょう。

 

 


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